目の健康ガイド

このページでは、学校医でもある当院の星川院長が、子供の目の健康についての記事をご紹介します。
ぜひご参考になさってください。

「小学生の近視の現状と対策、今後について」
~眼科医の立場から~

近年、小学生に増加している「近視」について、現状、増加の背景、進行抑制方法や治療、最新情報等を、一部専門知識を交えながら分かりやすくご説明いたします。

近視とは

近視とは、裸眼の状態で手元など近くは見えますが、黒板の文字など遠くが見えづらくなっている状態です。近視が進行すると、矯正視力は正常(1.0以上)ですが、裸眼視力は低下していきます(1.0未満)。適切なメガネ、コンタクトレンズを装用すれば近方遠方共に問題なく見えます。近視は、眼科で視力検査や医療機器で診断します。なお、乱視、遠視、弱視、斜視、仮性近視、調節けいれんとは異なります。

小学生の近視の現状

日本の小学生の近視の発症率は近年急増しています。
最近のデータでは小学生の近視の有病率は「約37%」と非常に高率です。
(一部の調査では、東京都内の小学生の76%が近視とのデータもあります)
中原区の新城眼科を受診されるお子様の近視割合も明らかに「増加」「若年齢化」「重症化」している印象です。
特に小学校低学年や入学前に発症した近視は、成人後にかなり強い近視(強度近視)になりやすく、より注意が必要です。

近視増加の背景

なぜ、これほどまでに近視が増えているのでしょうか?
要因は複数ありますが、遺伝要因だけでなく、ゲーム、スマホ、タブレットなどの近方作業の増加や、外遊び時間の減少、近年のコロナ禍による室内時間、室内作業の増加等の環境要因が挙げられます。

【画像】子供がタブレットで動画を見ている様子

各個人の近視予測のグラフ化

近視の進行は自覚しづらく漠然としていますが、最近ではお子様の10年後までの近視の進行具合を個別に高い精度で予測、グラフで可視化が可能となりました。

一度お子様の近視予測グラフを目で見て、大体の近視進行のイメージを把握していただくことをおすすめします。

近視進行の抑制・治療について

近視は小学生の時期が最も進むため、小学生における進行抑制及び治療が重要です。
以下、各ご家庭でできる対策と、眼科での治療に分けてお話しします。

ご家庭でお願いしたい対策

  • 読み書きは、明るい照明下(200ルクス以上)で正しい姿勢で行う(目から30cm以上離す)
  • 近方視だけでなく時々遠方視をする(近業30分したら遠方をしばらく見る)
  • 外遊びや屋外時間を増やし、太陽に含まれるバイオレットライトを浴びる(毎日最低30分、できれば120分、木陰でも可)
  • マンガ、TV、ゲーム、タブレット等の1日の合計時間を減らす
【画像】外遊びは近視を減らす

眼科での治療

眼科ではまず検査・診察をして、各お子様の視力低下の原因を明確にし、近視と診断された場合は、その程度や状況、ご本人と親御さんのご希望等を勘案して、以下の様々な方法を提案し、治療を開始、以後視力や近視状態の定期検査を行っています。

メガネの装用、通常のコンタクトレンズの装用、近視進行を抑制する点眼薬の処方、目の緊張状態を緩和する医療機器ワックの定期的な施行、近視進行の抑制効果があるサプリメント服用、近視進行の抑制効果があるEDOFソフトコンタクトレンズの装用等をしています。

新しい近視予防法のご紹介3件

1. 多焦点コンタクトレンズ

アメリカなど海外では、各社が様々なデザインの多焦点ソフトコンタクトレンズを子どもの近視進行抑制のために開発しており、一定の有効性が示されています。
ハードレンズであるオルソケラトロジーに比べて見え方が安定し、費用が安く、痛みが少なく、装着しやすく、使い捨てのため衛生的です。
このため国によっては子どもの近視進行抑制のために使用される頻度は、低濃度アトロピン点眼やオルソケラトロジーよりも高くなっています。
新城眼科でも、ご希望の小学生にEDOF多焦点コンタクトレンズ(シード社)を処方し、装用者が増えています。

【画像】多焦点コンタクトレンズEDOF(シード社)

2. 低濃度アトロピン点眼薬

新しい低濃度アトロピン点眼薬を日本の参天製薬が開発中です。既存のマイオピン点眼より有効で安全とされ、将来日本で健康保険適応されれば、簡易で安価のため近視治療の主役になると期待されています。

3. レッドライト治療法

これはまだ有効性、安全性等の治験段階ですが、実施方法は簡単で、1日2回、特定の赤色光を見るだけで近視進行予防効果が87.7%と報告されています。

【画像】レッドライト治療法

眼科医として伝えたいこと

進行した近視は、裸眼ではきちんと見えず不便なだけでなく、子供の心身の健康や発育、学力に大きな影響を及ぼします。
また、成人後に緑内障、白内障、網膜剥離、黄斑症などの深刻な眼疾患になるリスクが数倍も高くなります。仮に将来レーシック、ICLなどの近視手術をしてもこのリスクは高率のままです。

残念ながら、近視人口は今後も世界的に増加していくと考えられています。
近視による弊害は社会問題となりつつあり、日本でも文部科学省が大規模な実態調査を実施、日本眼科医会でも啓発活動を強化していますが、まだまだ不十分だと思います。
近視抑制に対する治療において絶対的に確立された方法がない中で、お子様の近視の進行を少しでも抑制し、快適な視力と目の健康を維持するためには、各ご家庭やお子様ご本人と眼科クリニックが協力して対応することがとても大切です。