糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは

糖尿病に高頻度で合併する「糖尿病網膜症」は現在失明原因第2位の病気です。
糖尿病の方の20%は糖尿病診断時にすでに「糖尿病網膜症」も発症しています。
また糖尿病発症後20年で、1型の100%、2型の60%の患者様に「糖尿病網膜症」が発症します。

さらに、「糖尿病網膜症」は無痛で自覚症状が出づらいので、しばしば手遅れの状態になってから眼科を受診する場合も多く「もっと早く治療を始めていれば・・・」と、痛感される病気です。

糖尿病の方は、内科だけではなく必ず眼科も受診してください。

症状

初期の段階では、まだ自覚症状がみられません。
しかし、目の中の血管の状態をみると、小さな出血など、少しずつ異常があらわれています。

中期になると、視界がかすむなどの症状が感じられます。
このとき目の中で、血管がつまるなどの障害が起きています。

末期になると、視力低下や飛蚊症が起こり、さらには失明に至ることもあります。目の中で大きな出血が起こる、あるいは網膜剥離や、緑内障など、他の病気を併発している場合があります。

当院では新しいOCT検査機器や眼底検査により、ごく初期の糖尿病網膜症も診断しています。

また、OCTはわずかな網膜の変化も確認できるため、網膜症の経過観察および治療に役立っています。

【画像】糖尿病網膜症 OCT検査

原因

糖尿病が原因です。
特にHbA1cが7.0以上の方はいつ網膜症が発症してもおかしくない状態です。

診療

初期の治療

糖尿病自体の治療と同様、血糖(血液中の糖分量)をコントロールすることが重要です。同時に、止血剤や循環改善剤などの内服薬を処方いたします。

中期の治療

網膜新生血管の防止や消炎のため、「レーザー網膜光凝固術」が行われます。

当院では、新しいマイクロパルスイエローレーザーを利用して、より早期に、より低負担で、最大限の治療効果が可能です。

末期の治療

併発した硝子体出血や網膜剥離などに対し硝子体手術等が行われます。

糖尿病眼手帳について

糖尿病診療においては内科と眼科の連携がとても重要となります。
当院では「糖尿病眼手帳」(日本糖尿病眼学会発行)を診療に活用しています。

すでに内科等で類似の手帳をもらっていない方を対象に、手帳を無料で配布しています。
この手帳には視力、眼圧、眼底等の所見とともに進行具合や次回受診の時期も記載されますので、内科の先生との連携に役立つだけではなく、受診忘れの予防にもなります。ぜひご活用ください。

なお、当院は内科からの紹介状がなくても大丈夫です。

【画像】眼科検査機器